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またカヲシン書きました。
でも本当に不思議です、4、5年前は普通に楽しんでいたのに何故今になってこんなハマり方してるんでしょう。


ほんと自分を不思議に思いつつも、またお話を書いてるわけで。
なんかカヲシンにお互いに依存してますよね、でもカヲルのほうが依存度強かったらいいなーとかそんな話書きました。
庵カヲシンです。
依存度強いと思うのは新劇カヲなんですけど…ね…。


またこっち使わしてもらいます。









君の中の僕。
君は一人だった、一人だったから、僕という存在に惹かれた。
人は一人では生きていけない。
一人で悲しみや寂しさに暮れている時に現れた他の人間が、まるで光の輝きのように見えてしまう。
そしてその光の輝きに一目で憧れて、好意を抱いてしまう。
それが君。
そして、僕。
僕も一人だった、一人だったから、
「君が好きなんだ、シンジ君」
これを君に話したら安直だと怒るかもしれない、もしかしたら泣くかもしれない。
だけれど僕の運命は使徒である事と共に、最初から君に出逢うことだった。
だから、安直でもただの一時の気の迷いでもないんだよ。
少なからず僕はそう。
「君はどうなんだい?」
僕以外の人間にまた、心惹かれてしまうかい?
それがファーストであれ、セカンドであれ、他人が自分の存在を受け入れてくれると知ったら途端に僕から離れてしまうかい?
「…僕もカヲル君が好きだよ」
照れ隠しをするように目をそらしながら君はそう言った。
僕は、わざと困ったようににっこりと笑う。
「どうしたの?カヲル君?」
君のその言葉が聞きたかったから、なんて、僕はずるい奴だね、シンジ君。
ふと公園のベンチで僕の隣に座っている君は僕の顔を純粋に覗き込む。
その時僕はどんな顔をしていただろうか。
「……今の僕の好きだという言葉は、君が思っているような安易な意ではないよ」
その身体を今にも抱き寄せて、寂しさに胸を苦しめている今のシンジ君なら簡単に言い包める事ができてしまうだろう。
でもそんな雑なやり方で手に入れたものなんて、すぐに失くしてしまうのはわかっているから、僕はそっとシンジ君の手を握った。
もっと、誰も信じれなくなっている君に僕という存在を信じさせるには、もっと丁寧に君と話をしなくてはいけない。
君の悲しみにまで触れる必要はないけれど、君の心に幾重にも巻かれた鎖に僕は触れて、それを解きたい。
僕はシンジ君にとって唯一の存在になりたい。
僕がそうであるように。
「…これは友情じゃない、愛情なんだ」
僕を見つめるシンジ君の眼が、すうっと大きくなっていくのがわかる。
そして、その眼が僕を的確に捉えた時に、その瞳の色は不安なものになって、何か言いたげに僕を見つめた。
「…嬉しくはないのかい?」
「……嬉しい とか、嬉しくない とか、そういう分け方じゃないんだ。……ねぇ、カヲル君、僕のどこが好きになったの…?」
不安げな瞳は、揺らぎながら僕を見つめ返す。
愛される事に慣れていない君は、やっぱり僕の言葉を疑う。
「僕はそんなに軽い男に見えてしまうのかな」
「…ち、違うよ、ただ、こんな僕のどこに良いところがあるのかなって思って…」
愛される事に慣れていない上に、自分の事が愛せない。
人は弱いものだ、人は人と干渉して、色んな”人”を生み出す。
だから僕は今のこの“自分を愛せないシンジ君”を作った誰かを、ひどく憎む。
「君は僕よりも遙かに色々なものを持っている。……そこがとても僕は素晴らしいと思う。同時に、羨ましいとも思う」
僕は人ではないから、人であるシンジ君の”人らしさ”に僕はとても惹かれていた。
他の人間は別にどうでもいい、けれどシンジ君の人間らしさは、僕にとっての神秘だ。
「…そんなのカヲル君の勘違いだよ」
だけれど僕の言葉などまるで聞き流すように、ふるふるとシンジ君は首を振る。
そして、時折見せる彼の自嘲めいた笑みが、今日もまたあの可愛らしい顔に浮かび上がった。
何だか僕はそれがとても嫌で、その時のシンジ君は全てにおいて、僕ですら抉じ開ける事のできない程の心の壁を作っているようだった。
それは、とても頑丈で、とても冷たいものだと思う。
「シンジ君はもっと自分の事を好きになるといい」
握った手を、もっと包み込むようにする。
何故だか、シンジ君の温かった手から、少しずつ温度が消えていくように思えた。
ふと君を見れば、不満そう小さく唇を噛んだ様子が伺える。
納得がいかないように、握っていた手に力が僅かに込められたのがわかる。
「さっき君は僕を好きだと言ってくれた、でも自分を愛せない人間は、真に人を愛することもできないんだ」
この言葉を君は何と思うだろうか、君は十分に自分を好きになれないから、きっと僕への想いも十分に満たされた愛ではない、と思う。
もしそれが僕に対して救いを求めるような、縋る愛だったとしても、僕は何も厭わないけれど。
どんな形であれそれがシンジ君からの愛なら、僕は何も不服には思わない。
だけれど、君の僕に向けられる愛は、そんな歪んだものではないはずだ。
純粋に、誰かを思う気持ち、誰しもが持っている感情の一つ、その中の愛というものを、君はまだよく知らないから困惑しているだけで、自分を責め立てることで人に感情を左右されないようにしているだけで。
「自分を好きになるって、よくわからない…エヴァに乗っている僕は好きかもしれない。でも、エヴァに乗っていない僕は、何も価値がなくて、嫌いだ」
吐き捨てるように、シンジ君は泣きたそうな目で呟いた。
語尾は少し震えていたかもしれない、そんな君が、君がとても幼い守られるべき子供だと、思うより先に僕はシンジ君を抱きしめていた。
「自分に価値が欲しいのかい?」
「自分に価値があるってことは、周りの人が僕を求めてくれる、僕の居場所をくれる」
抱きしめられた身体は何も嫌がらない。
それどころか、僕のほうに手をまわして、抱きしめ返してくる。
もしかしたら涙を流しているかもしれない、声色がそう感じさせる。
やはり、君には僕しかいないんだ。
僕だけが、君を受け入れる存在、許す存在、愛する存在。
全てを肯定し、否定の無い存在。
なんて都合がいいのだろう、それは、お互いに思っていることなのかもしれない。
「僕は君がエヴァに乗っている事なんて関係なく好きなのに?」
耳元で小さく言った後に、ふとシンジ君の方を見ると、ひどく悲しそうな顔をして君は、
「……カヲル君は、変わっているね」
小さく微笑んだ。
そこには、シンジ君がずっと抱えてきた明らかな悲しみが添えられていて、僕は何も言葉が出なくなる。
何故だろう、君には僕しかいないはずなのに、このじわりと込み上げてくる気持ちの悪いものは何だろう。
それは君が僕を拒否しているから、心の奥底で、拒絶しているから?
気持ち悪い。
「……君にはもう僕しかいないよ、だから僕が君を愛する、受け入れる、甘えさせてあげる」
焦る心が、僕の言葉の選択を誤らせる。
違う、こんな事を言ったって駄目だ、駄目なのに。
思わずシンジ君の視線を感じて、目を合わせれば、君の表情は何も表わしていないものだった。
「………どうして?」
そして、心の底から不思議そうに、シンジ君は僕を見つめながら、問いかける。
それは無邪気に新しいことを知ろうとする幼い子供の様子と酷似していた。
「どうして、カヲル君はいつもそんなに僕に優しいことを言ったりするの?」
どうして。
どう、して。
それは君の事が好きだから。
ちがう。
君には僕しかいないんじゃなくて、僕には君しかいないから。
君だけが僕の全て、月に生まれ落ちた時からずっと、僕の自由を奪っていた存在。
僕は、ずっと君に束縛されて、僕はそれが嬉しかった。
「……だって僕には君だけしかいないから」
例えそれが一方的な想いであったとしても。
君だけが、僕の存在。
僕が、君だけの存在。
縋るような想いも、それは僕のことだったのかもしれない。
僕の腕の中からするりと抜けて、君は俯きながら、なんだ、と呟く。
「そんな簡単な理由なんだ」
嘲笑の意味を込めた、自虐的な笑みで、君は屈託なく笑った。
笑って、次に僕に向けたのは、悲しみに満ちた視線。
「僕たち、運命なんかじゃないよ。……ただ、お互いに孤独だっただけなんだ」
そう言った君の瞳から、一筋の涙が静かに零れ落ちて、僕はそれを拭うこともできずに、ただ、何も言葉を返せないまま、君を見つめることしかできなかった。
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