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本当なら10月中にだぶるおー二周年記念でロク刹か刹ロクか書きたかったんですが、なかなかうまくいきませんね。


とりあえずで、フォルダ整理してたら前に書いたまま何故かお蔵入りされてた小話があったので、ちょっと加筆修正して今上げます。
ロク刹です。
保護者なのか恋人なのか曖昧なろくせつで。


あーカヲシンも瀬戸内も書きたいよー!!!
書きかけならごまんとあるんですよ、恐ろしいことに。


以下小話。






愛を嫌う子供などいるはずがない。
子供は、本能的にひたすらに愛を求める生き物なのだから。
寧ろそれが、子供の仕事であるのではないだろうか。
ロックオンはこれを正論だと考えている。
愛に飢えた子供なら沢山いる。
それは嘗ての自分であり、何より刹那の存在だった。
元来、愛に飢えていた子供が同じような存在に愛を与える側になるなど、ロックオン自身思ってもいなかっただろう。
ふと自分の傍らで今にも眠ろうとしている刹那の方を見やる。
「刹那」
刹那は微睡みの中で意識を持て余していた。
毎日が死と瀬戸際だった世界から解放され、眠りを邪魔する声も、銃声も、きつい火薬の匂いも、もう刹那の周りには存在しない。
そういった事実が、刹那を少しでも安らかに眠らせてくれる事実になればいいのに、そうロックオンが願えど、実際の刹那は以前の生活が染み付いて、夜は大抵深い眠りにはつけていない。
それでも刹那も人間だ、うとうとと目を閉じていたところをロックオンに呼ばれたので薄らと瞼を上げると、伸ばされた手が両目と額を覆ってゆっくりと頭を撫でてくれる。
刹那はその行為に自然ともう一度目を瞑っていた。
ひどく心地いい、ずっとこうされていたいと思う。
言葉は何一つ返さなかった。というよりも、まともな返事ができるほど意識ははっきりとしていなかったからだ。
ただただ、気持ち良いこの感覚に浸っている事がとても刹那を暗い闇から引きずり出してくれる。
目を閉じればいつも、これまでに手にかけた死体の顔や、幼き頃に殺めた両親が浮かんでいた。
それが、ロックオンによって中和されていく。
もう片方のロックオンの手が、刹那の手に触れた。
白い大きな手のひらが、幾分色の黒い手のひらを包み込む。
ゆっくりと、優しく包み込まれた手は冷たかった。
それを温めるかのように、ロックオンは刹那の手をいつまでも離さずにいた。
そして額に小さくキスをし、そっと刹那の目にかかった髪を手で除ける。
「安心してお休み、刹那」
言い聞かせるように刹那の耳元で囁いたロックオンの言葉は、刹那のうつろうつろとした意識の中に、じんわりと優しさや甘酸っぱいような気持ちを込み上げさせてくる。
ふ、と刹那は息をつく。それは安心の意を込めたものだった。
ほんの僅かの変化だけれども、表情が少し綻んだようにも見えた。
その直後、刹那の意識は途切れる。
それをロックオンが確かめて、温かくなった手を離すと、静かに呼吸を繰り返す刹那の為に室内の照明を消した。
初めに会った頃とは格段に違う、この懐き具合。
やはり、愛を求めない子供などいるはずがない。
それは、子供の特権で、義務のようなものでもある。
だから大人達は子供を愛する事が当然ときっぱりと言い切れるような、そんな世界になればいいと思う。
どこまでも、笑顔と幸せと夢を。
そんな素敵な言葉ばかり贈る事ができたら、と。
(……俺なんかがしていいのか、できるのか。これは正しいのか)
不明瞭なことばかりで、そもそもロックオン自身が常に不安を抱えているのに、愛する、とはまた難しい話でもあった。
遊びでもなくおままごとのようなその時限りのようなものでもなく、どうせ愛すならずっと、常にどんな時だって愛していたい。
いや、愛されていたい。
結局は、自分も愛されたい。
どこまでも深く愛して、愛されたら、それはそれは幸せな話だ。
愛する事に、一生懸命になってみたい。
自分を見失うぐらい、愛してみたい。
だけれど目の前に眠る子供には、まだ早い、まだ幼い。
ロックオンは自分の中の刹那に対する想いに、思わずため息を吐いて、そっと刹那の傍らで自分も瞼を閉じた。


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